農業というと、「自然を相手にする仕事」「長年の勘や経験が大切な仕事」というイメージを持つ方も多いと思います。
もちろん経験や感覚はとても大切です。しかし実際の農業は、それだけではありません。
農業は、非常に緻密な経験と計算、そして毎日の判断の積み重ねで成り立っている仕事だと思います。
同じ畑でも毎年条件が違う
気温、雨の量、土の水分、雪解けの時期、風、病害虫の発生状況など、農作物を取り巻く環境は毎年変わります。
さらに同じ畑の中でも、土質や水はけ、地形によって条件が違うこともあります。
その中で農家さんは、播種や植付けの時期、肥料の量、作業深さ、培土、防除、収穫時期などを判断していきます。
昨日まで正しかった判断が、天候が変われば今日も正しいとは限りません。
「経験」は膨大なデータの蓄積
農業でよく言われる「長年の経験」は、単なる勘ではないと思います。
「この天候ならこうなる」
「この土の状態ならもう少し待った方がいい」
「今年の生育なら機械をこのくらいに調整する」
こうした判断は、何年、何十年と農業を続ける中で蓄積された膨大な情報から導き出されています。
言い換えれば、農家さん一人ひとりの中に、その土地や作物についての独自のデータベースがあるようなものだと思います。
作物だけでなく経営の計算も必要
さらに農業は、良い作物を作れば終わりではありません。
肥料、農薬、種苗、燃料、農業機械、人件費などのコストを考えながら、限られた時間の中で作業を組み立てる必要があります。
「どれだけ収穫できるか」だけではなく、どれだけの費用と時間を使って、その収量を得るのかまで考えなければなりません。
私たちも農家さんから学ぶことがたくさんあります
私自身、農家さんと仕事をする中で、農業は本当に大変な職業だと感じています。
自然は人間の都合に合わせてくれません。その中で毎年違う条件を見極め、これまでの経験と数字を組み合わせながら判断し、結果を出していかなければなりません。
そして、その結果が分かるのは何か月も先ということもあります。
だからこそ私は、農家さんの仕事には、私たちも見習わなければならない部分がたくさんあると思っています。
目の前の状況をよく見ること。
過去の経験から学ぶこと。
数字を考えること。
うまくいかなかったことを次に活かすこと。
これは農業だけではなく、ものづくりや会社経営にも通じる考え方だと思います。
私たちは農業機械を修理したり製作したりする側ですが、機械について農家さんに伝えるだけではなく、私たち自身も農家さんから学びながら成長していく。
そんな関係をこれからも大切にしていきたいと思っています。